クリップス・紀元前パート2…の巻

こんにちは!クリップスのムリンズ由美子です。

さて、私の兄のタケが、クリップスにとってのアダムとイブであり、タケとの生活は喜怒哀楽に満ちた日々でした。

 

子供の頃、近所の子たちが、我が家を指差して噂していました。

「ここはキチガXが棲む家らしい」

今の時代、テレビ放送なら、ピーッと言う音で消し去られている放送禁止用語です。でも未だその頃は、障がい者に対する差別は著しく、一種の暗黒時代でした。

そんな噂話は、現代で言えばSNSのアンチコメントみたいなものでしょう。

知らない、知ろうとしない、他人事。

でもその反対側にいる当事者はいつの時代も深く傷つき、私でさえも、苦い想いがありました。

 

数年前、障がい者施設で事件がありました。

自身が勤めていた障がい者施設の利用者を惨殺し、放火した事件は、未だに胸がザワザワします。

「障害者は生きていても意味がないし、社会に迷惑をかけるだけなので、殺害してもよい*」犯行の理由だそう。

この言い分は、私の信念の、ど真ん中の一番柔らかいところを、メッタ刺しにしました。

 

兄のタケは紛れもなぃ、重度の障がい者です。自分の力では生活できません。

奇声がスゴくて、ご近所から虐待を疑われたこともあります。

激しい自傷の末、顔中痣だらけになった兄を見て、声をあげて泣いたこともあります。

私の髪の毛を何度も思い切り引っ張り、ハゲができたこともあります(これは今でも怒っている!)

でも兄の存在は、「生きている意味がない」ような、粗末なものではありません。

 

兄の存在には大きな大きな意味があります。

その犯罪者は訊くでしょう「じゃあその意味って何だよ?」

目の前で言ってやれないのが癪ですが…

「兄の存在がなかったら、福祉や介護を志す私は、間違えなくいません。兄の強烈な影響力はインスピレーションとなりました。兄が生まれてきた意味を、日々噛み締めていることは言うまでもないでしょう!(心の声:どーだ、わかったか!)」

たった一人の人間にとって、意味がある存在でもいいと思うのです。

どんな命も尊い。どんな人間も、生まれてきた意味が必ずあります。
歴史を変えるような意味ではないかもしれません。でも、一人の人にとって意味がある存在も、かけがえのない命だと思います。

そう信じて、クリップスの今があります。

*実際の言い回しはわからないので、ネットに上がっている情報を抜粋・まとめた意訳です。